教科書の採択で良識ある判断を求めます

登録番号
00087
更新日
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受理年月日 平成17年8月3日
回答年月日 平成17年8月8日

内容

教科書採択のためにご努力なされていることと思います。

わたしは、子どもたちによい教科書が選ばれることを願っています。「新しい歴史教科書をつくる会」が編修した歴史と公民の教科書(扶桑社刊)は、日本の行なった戦争の誤りを認めず、戦前のように天皇を中心とした軍国主義の国にしようとしているように思われます。

戦後60年、いまこそ戦争の惨禍を思い起こし、加害の責任を自覚し、国際社会で信頼される平和な社会をきずく決意をするときです。「つくる会」の教科書がめざしているのはこれとは正反対のものです。この教科書は憲法、教育基本法に背くものであり、学習指導要領にもそっていません。この教科書が選ばれることがないよう、良識ある判断を求めるものです。

回答

平素より、教育行政の進展に格別のご指導ご協力を賜り、心より厚<お礼申し上げます。

さて、小・中学校で使用する教科用図書の採択について、その仕組みについてお知らせし、回答に代えさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。

まず、「教科書採択」というのは、学校で使用する教科用図書を決定することで、公立小・中学校の教科書採択は、「地方教育行政の組織および運営に関する法律」第23条第6号の規定に基づき教育委員会が行うことになっています。しかし、現在の教科用図書については文部科学省の検定制度がとられていることから、同じ教科・科目について数種類の教科用図書がそれぞれの教科書会社から発行されています。教科用図書の採択は、この数種類ある教科用図書の中から1種類選択するということです。

前述しましたように、教科書採択の権限は教育委員会にありますが、「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」第12条第1項の規定に基づき、都道府県教育委員会により、市若しくは郡の区域又はこれを合わせた区域には、教科書採択地区を設定することになっており、第4項の規定では、採択地区が2以上の市町村の区域を合わせた地域であるときは、協議して同-の教科用図書を採択しなければならないことになっています。

北海道には、この採択地区が24あり、十勝の場合、帯広市が一つの採択地区、他の町村が一つの採択地区を構成しています。本町が加入している採択地区では、「第12地区教科書採択教育委員会協議会」を結成し、ここで具体的な採択協議を行っています。この協議会には、各町村から一人ずつ委員を出していますが、十勝の場合は全員、教育長となっています。

また、この協議会には、「第12地区教科書採択教育委員会協議会規約」第5条第1項の規定に基づき、教科ごとに校長・教頭・教諭、指導主事など専門的知識を有する職員、学識経験者および保護者など79人からなる「選定委員会」が置かれ、各教科書会社発行の検定本について、専門的な調査研究を行い、協議会に対して意見を言うことになっています。

しかし、この選定委員会で教科用図書の絞込みを行うことはありません。協議会では、この意見や、各教育委員会の意見、教科書展示会の意見箱にあった意見、北海道教育委員会が策定した「採択基準」などを参考にして、採択本を教科ごとに決定することになり、各教育委員会は、協議会が採択したものと同じ教科用図書を採択することになっています。

なお、今年度は中学校用教科用図書採択の年であったため、中学校用教科用図書の採択が注目されましたが、小学校用教科用図書や学校教育法第107条に規定する教科用図書(いわゆる身障児学級で使用される教科用図書)についても、同じ手順で採択されることになります。

したがいまして、教科書採択が-方的な視点で行われることはなく、静かな環境の中で公正に行われていることをお知らせし、回答といたします。

回答課
浦幌町教育委員会学校教育係
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